「幽霊学入門」を読んでみた

 

 

 

 

わー!バカOLだ!痛い視聴者だ!逃っげろ~い!

 

超会議呼ばれたのに呼ばれなかった男 - ニコニコ動画

 

 

 

手に取った感想は「薄っ」です。

 

ところで、Amazonで価格を調べようと思って
出てきたのがこれ。

f:id:sweetclover194:20180816204525j:plain

f:id:sweetclover194:20180816204531j:plain

f:id:sweetclover194:20180816204546j:plain

 

これ。


なんですかこれ?????

 

知らない人が見たら
チョコレートパーシーとがんぺーちゃんを信奉する
ヤバい邪教の信仰集団が
教典に買って行ったんだと思うんじゃない?

ある意味では正解かもしれない。

 

 

本題。

河合祥一郎編『幽霊学入門』2010,新書館

2010年という比較的最近の本。
幽霊というと妖怪や民俗学関連かと思ったのですが、
それよりかは普段文芸・演劇に携わる人たちが書いたようです。
15人ほどがよってたかってそれぞれの専門分野についての
短い手稿を寄せているので、
飽き性な人にもおすすめできます。
文学・芸術方面に興味がある人にもおすすめできそう。
もちろん、宗教や土着信仰、表現論、政治・社会学などなどにもちゃんと触れるので
幽霊ガチ勢も知見を広めるのに役立つことと思います。

 

中身はといえば、

「科学的に考えれば幽霊は存在しない」というような

いわゆるカッコつきの「近代的思考」「科学的思考」に

真正面から立ち向かうガチ勢の本。

「歴史上、文字や演劇で幽霊がいかに表現されてきたか」

を主軸に、幽霊という存在への情熱を語ってくれます。あつい。

 

 

とはいえ、これもなんの専門知識もない一介のバカ視聴者が書く感想なので
話半分で読んで頂けると幸いです。

 

〇序文 河合祥一郎


『ちっぽけな"近代的自我"を超えるスピリトゥス(霊)に思いを馳せてみよう』

 


おっ、ヤバい本か?????

出だし好調か???????

 

 

『人は霊と向き合って初めて己の生き方を知ることができるのではないだろうか』


孤独死まっしぐらのぼっちこと私に向かって、
孤独な人なんていない。霊がそばにいるよ。
そういうことなんか。そう言いたいのか。
慰みに恐怖体感呪怨でも始めるか。

オラワクワクすっぞ。

 

以下、15個それぞれに短い感想を書きました。
めんどくさいからね。

ちゃっちゃといこうね。

 

西洋編

〇ヨーロッパ中世の幽霊 小林宜子

幽霊大国イギリスのゾンビについて。


ゾンビ??????
脳内で魔界村始まりました。幽霊はどこだ。
ちなみにイギリス人のゾンビパニックに対する伝統的対処法は
「八つ裂きにする」らしいです。
自宅前にスケルトンのコースがない方はお試しください。

 

①幽霊がいるから
②聖なる力で追い払う
③そのためのキリスト教


ではなく、

 

キリスト教の信者が
②聖なる力の存在を証明するため
③幽霊を生んだ
④からの広がる2次創作!

 

という逆説的な話。

いつの時代も二次創作の波は止まらないんだね。

 

 

シェイクスピアの幽霊 河合祥一郎

序文を書いたやべー人のやつ。
幽霊を信じない奴にシェイクスピアを語る資格はないという熱い気概を感じて草。


『人間の"気"が宇宙の"気"と結びつく』


序文を書いただけあって、
今にも神との対話法とか言い出しそうな
オカルトチック論調がヤバめなワクワク感ある。
妖精とか天使とかファンタジー用語に溢れているので
ファンタジー好きな人は食いつくのでは。
夏の夜の夢・・・真夏の夜の淫・・・うっ頭が

 

 

〇ゴシック文学の幽霊 今本渉

イギリスの幽霊小説が幽霊小説として評価を得るまで。
雰囲気作りが大事とのこと。
ジャパニーズホラーはこの辺りが優秀なこと、我々は呪怨で十分学びました。
「くるざん来そうじゃんめっちゃ来そうじゃんなにがしかが」

【実況】ナポリの男たちの挑戦~呪怨編~ Part3 - ニコニコ動画

 

 

アメリカン・ナラティヴの幽霊学 巽孝之

アメリカ、リンカーンが吸血鬼殺しだったとかいう小説の話から。
2010年の小説ですが、当時話題になったような。

と思ったら2012年に制作ティム・バートンで実写化されてましたね
この手の現実と虚構を織り交ぜた2次創作、好きな方多いんじゃないでしょうか。
攻殻機動隊の話も出てくるし、
なんだか熱いオタクっぽさを感じます。
蘭たんもちょろっとchで話してた
疑似科学ブームについても触れてるけど、
1番キモオタみを感じたのは

小説家の髪の毛をゲットしたのでその幽霊に会えるかもしれない

とか言ってるくだりです。
やべーやつだ。

 

 

ベケットモダニズムの幽霊 田尻芳樹

20世紀のヨーロッパ、芸術分野の近代オカルトブーム。
近代の話で霊界との交信とか言い始めると、

いい感じに芳ばしい胡散臭さが出てきます。
電話や映画と幽霊が結び付けられるのがめちゃめちゃ面白い。
00年代にネット上で流行ったホラーとも結びつきそうな話。

ブラクラとかありましたねー。

 

 

ヴィクトリア朝の幽霊研究 風間賢二

『そう、チェシャーネコは―「おまえはもう死んでいる!」―幽霊なのだ。』

 


( ´∵)?

 


幽霊ショーのネタバレがすごい。
不思議の国のアリスのふしぎ現象は
当時の幽霊ショーから着想を得たのではないかという考察と、
19世紀のイギリス人が幽霊いるかいないかで右往左往してた話。

 

 

〇幽霊屋敷考 加藤耕一

ディズニーのホーンテッド・マンションから話が始まるぞ、喜べ。
典型的なホラーの「洋館」イメージがどこから来ているのかを大真面目に考える話。
貞子人のプライバシーゾーンに侵入してくる画期的なヤツってことがわかりました。


最後にネット世界が居場所マンの私に包丁向けるのだけやめてもらえません?
確かにURLが分からなくなった個人サイトとかブログとかあるけど。
心臓が痛い。

 

 

〇女と幽霊―リメイクされる女の性 小澤英実

「幽霊は語り手なくして存在できない」という当たり前の話を基盤に、
女性の幽霊がどんな描かれ方をして、なぜ怖がられるのかみたいな話。
男女二項対立の極論を従来の通説と位置づけ、
後半で古臭い性差イメージを越境する展開がわくわくするので、
エセフェミピーターパンな方にも、従来の女性像が苦手な方にもおすすめ。
貞子もトイレの花子さんもあるお!
皆めっちゃリング好きじゃない?

 

 

〇(コラム)演劇の幽霊 鵜山仁

あっ!演劇沼の演劇ガチ勢だ!
ということがよく伝わるようなコラムだった(完)

 

 

東洋編

〇日本幽霊学事始 諏訪春雄

幽霊と妖怪は違う派のご意見。
妖怪=「自然神」で幽霊=「人格神」の根拠にした文献を教えてほしかった。
分かる分かる、ち●こ奉ってる神社あるよね。
結局、幽霊と妖怪は違うってことにしといたほうが
妄想が広がるって話?(何もわかっちゃいない顔)

 

 

〇能の幽霊 松岡心平

お笑い系舞台がなんで幽霊ものと化したか。
鬼の仮面をゲットするだのしないだの言ってると
なんかムジュラの仮面思い出します。青沼ァ!
の話、24時間かなんかですぎるがしてませんでしたっけ?


『後戸猿楽の役者たちこそは、闇の空間の主宰者であった。』


とか、日陰者が独自の立場を築いて日向に出ていく過程が
ちょっと厨二っぽく描写されてて草。
アタイ嫌いじゃないよそういうの。

 

 

〇幽霊西東―中国と英国と 南條竹則

また幽霊を定義しようとしてる…。
中国とイギリスの降霊術に共通点が多いという話。
あと人外とデキたがる中国人の性癖が広い話も。
どこかの日本人みたいですね。
人外萌えは昔からあるんだ。

 

 

千里眼事件とその時代 長山靖生

明治時代の催眠術ブームの話からスタート。
「科学的な証明こそが絶対的に正しいもの」
とする考え方そのものが魔術や宗教と一緒、という
「科学も宗教の一つ」みたいな考え方、だいすきです。
聞いてるか理系。

 

 

〇近現代日本の幽霊文学史をたどる 東雅夫

近代文学三遊亭圓朝の怪談話から影響を受けたの受けてないだのみたいな話。
もう芥川龍之介の字面だけで脊髄反射的に笑っちゃうのよくない。マジで。
芥川龍之介がお化け好きだった話はもっと聞きたかった。
いや別に某芥川じゃない人と結び付けたいわけじゃないよ
明治以降の文豪による、
名著と謳われる幽霊小説をめちゃめちゃ紹介してくれてるので、
気になった人は読んでみては。

 

 

〇現代幽霊小説ベストテン―人間という虚数 三浦雅士

大丈夫?タイトル厨二入ってない?


虚数とはすなわち幽霊のことである。』


クエスチョンマーク生え散らかした。
虚と書いてホロウと読む、久保帯人先生かな?
ch#75の某T市の話じゃないですけど、
自分の身に覚えがある景色・事象とホラー話が結び付くと、
変な生々しさがあって最高に怖いですね。
伊坂幸太郎村上春樹よしもとばななといった
現代の著名な作家に対して一風変わった視点から論じているので、
読書好きな人に興味深く読んでもらえると思います。

なんかこの人の話自体が怪談みたいな仕上がりになってるんだけど。


最後の一文
『ベストテンなのに十一篇になってしまった。

幽霊がひとつ混じったという勘定である。』


やかましいわ。

 

 

〇全体の感想

「社会は幽霊が動かしてきた」とでも言いたげな
ゴリゴリの幽霊信者による手稿集だった、ような気がする。


「入門」というだけあって、
文系学問を触ったことのある方、
知ってる方にとっては常識みたいな話が多かったかもしれません。

が、色んな分野の話が詰まったよくばりセットだったので、

専門知識がなければ集中力もない私にはとても面白く読めました。

「薄っ」と思いましたがなかなか骨太な本だったね。

図書館行きたくなりました。

 

 

 

ここからさらにどうでもいい話。


蘭たんも言及していたかの有名な二重スリット実験みたいに、
科学で証明できないと科学者も認めるオカルトな現象がまだまだ存在する一方で、
幽霊や妖怪の存在が現実に証明できるものと
現代の最先端な「科学的思考」で考察されていたりもします。
少し前は鵺=レッサーパンダもにわかに騒がれましたねー。
Twitterを見てると、だいぶその一言だけが独り歩きしている印象もありますが。


21世紀は科学と幽霊が二項対立で対極の位置に並べられる存在ではなく、
疑似科学の存在も冷静なまなざしで見つめられるようになった今、
両者が歩み寄っていく時代なんじゃないかと個人的には思うのですが。
でもド素人のぼんやりとした一意見です。

わかんない。やっぱりドンパチやっててくれたほうが面白いかも。


人は死んでも記録として生き続ける、

それこそが幽霊だみたいな話は、
「投稿者が亡くなっても動画は在り続ける」

ということをよく見る、

ネット環境に馴染んでいるとずいぶん身近なことに思えます。

 

 

この本を買った540円は多いんじゃないかと思うので、

ご意見・ご感想ください。

専門的なことは分からないのでやさしくおしえてください。

あ、日本民俗学のさわりくらいならいけるかも。

イントロ1小節くらい。

もう覚えてないけど。