リメンバーミーの感想2 家族の愛は正直どっちでもいいけどとりあえず泣いた
どうだっていいんだよそんなこたァ
ネタバレありでもうちょっと込み入った話をしようと思います。
前回が衝動オンリーでふわふわしてたので
- 1.夢を追うことはこの映画の主題か?
- 2.古典的な家族の形がこの映画の主題か?
- 3.典型的な展開はなんのためにあったのか
- 4.メキシコも死者の日も、舞台装置でしかない
- 5.結局、世の中に数多くある作品の一つでしかない
1.夢を追うことはこの映画の主題か?
泣いたのはそこじゃない。
ミゲルのやりたいことを家族が理解してくれた。
泣きポイントですか?
そうだったという人もいるでしょう。
それでいいじゃない。
泣くポイントは人それぞれじゃない。
ミュージシャンの夢はワールドワイド規模で非現実的なものらしい。そんなことが分かって草が生えました。
主人公には音楽の才能があって努力もした。
家族には認められてなかったけど、あるきっかけで認められるようになった。
漫画で1000回は読んだ展開でしょう。
成功したお笑い芸人の自伝でも聞いた。
でも本当にそれを一番の主題にしたいのなら、
ミゲルの家族は、もっと中盤でミゲルの夢を徹底的に潰そうとする、残虐非道極悪無比の悪役に描かれてたはず。
そうじゃなかったと思いません?
ミゲルの父親の吹替はみんなのアイドル、だいすけおにいさんじゃなかったですか?
本当に家族が悪役100%なら、父親の声優は土師孝也(スネイプの吹替の人)とかその辺になると思いませんか?(?)
あっでもだいすけおにいさんが悪役でもたぎるね!?(??)
夢見るミゲルと現実に生きる家族、両方の悩みを上手に描いた作品だと思うんです。
でもこれだけが全てなら、たぶんイメルダとか存在自体いらない。
日本語版CMの「きっと家族は本当のあなたを理解してくれる」もミスリードじゃないですかね実は(?)
だってミゲルがミュージシャンの夢を認めてもらえたきっかけって、まあ奇跡じゃないですか?
これ見せられて「君にもできる👍」てサムズアップされたら
『”奇跡” ナメんじゃないよォ!!!!!』(ONE PIECE 55巻)
て。イワンコフにもなるわ。
そもそもヘクターの家族、ヘクターが夢を選んだことで結果的に崩壊してるからね。
相反する2つの家族がある上に、今回のヴィランズ枠だった彼は家族すら出てきてないし、現世に帰ろうとしてる節ないし、イメルダ達は子孫の顔把握してるのに、彼は子孫のこと把握してないからね。
だから「因習に囚われて保守的に生きる家族の反対を押し切って夢を選ぶことが正解だ」と伝えてるわけじゃないんです。
2.古典的な家族の形がこの映画の主題か?
じゃあ夢を追い続けるよりも、家族に会いたいと思ったヘクターが正解なんでしょうか。
ミゲルは靴屋を継ぐのが正解なんでしょうか。
もしそう伝えたいのなら、おばあちゃんはミゲルのギター壊す酷いヤツとして描かれなかっただろうし、
ミゲルの歌のシーンはあんなに明るく華々しく描かれなかった。
大切な人=家族=血の繋がり が全てでしょうか?
ほんと?
デラクルスは子孫と思ったから水中のミゲルをとっさに助けたのでしょうか?
ヘクターはミゲルに対して子孫だから協力的になったのでしょうか?
ミゲルはヘクターのことを先祖だからあんなに助けたかったのでしょうか?
もちろん遠いところで血が繋がっているということが分かって、余計に仲が深まったのはあると思います。
でも身内って実感なくない?相手会ったことないし、骨やで?
ならヘクターが血のつながった生きてる愛娘に会うことが、一番のテーマなのか。
そこの感動の再会シーン、ありました?
なんなら再会シーンも骨だし一瞬じゃなかった?
でもなんだかんだ幸せそうじゃなかった?
エンディングの1カットだけだったけど。
涙腺崩壊してたから画面滲んでよく見てないけど。
ということは、この映画の終着点はそこじゃなかったことが分かります。
これだけ多様的な生き方が認められた世界で、それでもなお多数派を占め、ひとつの思いを伝える分かりやすいツールとして、
家族の愛
が使われただけなんじゃない?と思います。
”正解”じゃなくて、手段の一つ、形の一つとして。
大事なのは大切な人を憶えていること。
「リメンバーミー」なんです。
(別にうまいことは言えてない)
3.典型的な展開はなんのためにあったのか
わかるよ、モンスター的なインク的なやつで見た展開でしょ?
私もハガレン1巻で見ましたよ。あと他の漫画でも見た。
ピクサーで「もう見た」展開がいっぱいあったっしょ?
私の隣で見てた年季入ったディズニー&ピクサーガチ勢が言ってた。
でも何回同じような展開を見ても、楽しいものは楽しいね。
典型的な展開で終わらせた部分は、大事ではない部分なんじゃないかと思います。
悪役の彼が倒されるシーンも(なんでここはやたら伏せたがるんだろうね?)
ひいひいおじいちゃんが誰かということも、
どうやってミゲルとヘクターが穴から助かるかということも、
ダンテの正体も、
家族に夢を認められるシーンも。
どっかで見たような典型的なシーンは、
ほんとに伝えたいことを伝えるための、なんかアレじゃない?
囮的な役割なんじゃない?(語彙力)
と思いました。
4.メキシコも死者の日も、舞台装置でしかない
ベイマックスで日本の全てを描ききりました!世界の皆さん!これが日本文化ですって宣言されたらどうですよ。
天下のピクサーとはいえ、生卵とイカと海苔が外に巻いてある巻き寿司御社に送りつけるぞって話ですよ。
でもおっ!と思うとこで忠実な部分も多いじゃないですか。
綿密な取材・忠実な描写の上に、ケーキのホイップクリーム並みに上手にフィクションを乗せてるんじゃないかと思うんです。
NHKの大河ドラマもそういうとこあるからね!やいやい言う前に見てね!特に清盛!!(ダイマ)
だからメキシコが忠実じゃないから見たくないとか、
死者の日の描写が忠実じゃないから見たくないとか。
そんなこといつまでも言ってる方がきっと野暮なんです。
メキシコの、死者の日の正解を提示したわけじゃない。
主題のための舞台装置でしかないんです。
話せば長くなるけど、その部分が大事じゃないとは絶対言わないですよ
5.結局、世の中に数多くある作品の一つでしかない
それなのになんであんなに泣いたのか?
わからん。
前の記事でも書いた通り、どこから泣いたか記憶にないからね(>。σ)~☆
考えられる可能性としては
私がハッピーエンド厨であるため、「こうなってほしい」が全部現実になって嬉しさのあまり泣いた
ということ。
最後ボディーブロー畳みかけられるような勢いで次々に涙腺が決壊したのも
次々に見たかった場面が見られたからでしょう。
とにかく、リメンバーミーは
生き方の絶対的な正解を提示する作品ではなく
ありふれた(『マス』に当てはまるような)素材をうまく組み合わせて
「大切な人を覚えている」というひとつのテーマを伝える作品
という風に私は感じました。
私はね。
目が節穴だった私はね。
節穴チャレンジ見事に失敗した私が言うからね。
鵜呑みにしないでね。
あと泣きポイントも絶対人それぞれです。
3つ隣の席の幼女はもうなんかだいぶ早い段階で号泣してたし、
隣に座ってたピクサーオタクも私と違うポイントで泣いてましたからね。
絵画の鑑賞に正解がなく、家族の形、友情、愛情の形にも正解がないように、
映画の鑑賞にも正解なんてないんですよ。
ふだん映画見ないけどな!!!!!!
知らんで!!!!!!!!